1AWSの料金モデル

AWSの料金の根本原則は「従量課金制(Pay as you go)」です。3つの主要な料金モデルを理解しましょう。

使用量に応じて支払う
使ったリソースの量だけ課金。EC2なら起動時間、S3なら保存容量と転送量。
予約するほど安くなる
リザーブドインスタンス・Savings Plansで1〜3年コミットすると最大72%割引。
使えば使うほど安くなる
S3等のボリューム割引。使用量が増えるとGB単価が下がる階層型価格設定。
無料利用枠(AWS Free Tier)
Always Free(常時無料):Lambda月100万リクエスト・DynamoDB 25GBなど永続的に無料。
12ヶ月無料:新規アカウントから12ヶ月間。EC2 750時間/月(t2.micro)・S3 5GBなど。
トライアル:特定サービスの短期間無料トライアル。
ミニクイズ
Q. AWSの料金モデルの特徴として正しいものはどれですか?(最も適切なもの)
A
全サービスで同一の固定月額料金
B
使った分だけ支払う従量課金制で、予約や使用量増加で割引が得られる
C
年間契約のみで途中変更不可
D
使用量が増えるほど単価が上がる
正解は B。AWSは「使った分だけ支払う(Pay as you go)」が基本で、予約(リザーブドインスタンス)や大量使用(ボリューム割引)でさらにコストを削減できます。

2主要サービスの料金構造

各サービスで何に対して課金されるかを理解することが、コスト最適化の第一歩です。

サービス課金の基準無料枠(新規12ヶ月)
EC2インスタンスの起動時間・インスタンスタイプ・OSによって異なるt2.micro 750時間/月
S3保存容量(GB)・リクエスト数・データ転送量(アウトバウンド)5GB標準ストレージ
RDSDBインスタンスの稼働時間・ストレージ・データ転送量db.t2.micro 750時間/月
Lambdaリクエスト数(100万/月まで無料)・実行時間(GB-秒)常時無料:月100万リクエスト
データ転送インバウンド(AWSへ):無料。アウトバウンド(AWSから外へ):有料。リージョン間:有料。15GBアウトバウンド/月
CloudFrontデータ転送量(アウトバウンド)・HTTPリクエスト数1TB転送・1000万リクエスト/月
データ転送の重要ルール
インターネット→AWS(インバウンド):無料
AWS→インターネット(アウトバウンド):有料(最初の1GB/月は無料)
同一リージョン・同一AZ内のデータ転送:無料
AZ間(同一リージョン):低コストで有料
リージョン間:有料
ミニクイズ
Q. AWSのデータ転送料金について正しいのはどれですか?
A
インバウンド・アウトバウンドとも無料
B
インバウンド・アウトバウンドとも有料
C
インターネットからAWSへのインバウンドは無料。AWSからインターネットへのアウトバウンドは有料。
D
同一リージョン内でも全て有料
正解は C。AWSへのインバウンドデータ転送は無料ですが、AWSからインターネットへのアウトバウンド転送は有料です。この非対称な料金設定はコスト計算で重要です。同一AZ内のEC2間通信は無料、AZ間は低コスト有料、リージョン間は有料です。

3コスト管理ツール

AWSのコストを可視化・管理・予測するためのツール群です。試験でよく出題されるツールの使い分けを覚えましょう。

ツール目的・機能試験のポイント
AWS Cost Explorer過去・現在のコストと使用量を可視化・分析するツールコスト傾向の把握・リザーブドインスタンスの推奨・将来予測。グラフで可視化。
AWS Budgetsコスト・使用量・リザーブドのカバレッジに対するアラートを設定予算超過のアラート通知(Email/SNS)。コスト・使用量・予約の3種類のバジェット。
AWS Pricing CalculatorAWSサービスの料金を事前に見積もる移行前のコスト見積もりに使用。旧名「Simple Monthly Calculator」。
Cost & Usage Report(CUR)最も詳細なコスト・使用量データをS3に保存時間単位での詳細データ。カスタム分析に使用。
AWS Cost Anomaly Detection機械学習でコストの異常を自動検出し通知予期しないコスト増加を自動検出。無料で利用可。
ミニクイズ
Q. 月次のAWSコストが予算の80%を超えた時点でアラートメールを送りたい。使用するサービスはどれですか?
A
AWS Cost Explorer
B
AWS Budgets
C
AWS Pricing Calculator
D
Amazon CloudWatch
正解は B(AWS Budgets)。AWS Budgetsはコスト・使用量・リザーブド利用率の予算を設定し、しきい値を超えた際にアラート通知(Email・SNS)を送信します。Cost Explorerは分析・可視化ツールで、アラート機能はありません。

4AWSサポートプラン

AWSは4つのサポートプランを提供しています。各プランの特徴・料金・対応速度を覚えておきましょう。試験では「どのプランが〇〇に対応しているか」を問われます。

Basic
無料(全員)
Trusted Advisorの基本チェック(7項目)
AWSドキュメント・ホワイトペーパー
サービスヘルスダッシュボード
技術サポートなし
Developer
$29/月〜
ビジネス時間のメールサポート
1人のプライマリ担当者
一般ガイダンス:24時間以内
システム障害:12時間以内
Business
$100/月〜
24時間365日の電話・メール・チャット
Trusted Advisor全チェック
本番障害:1時間以内
サービス制限緩和リクエスト
Enterprise
$15,000/月〜
15分以内(重大障害)
専任TAM(技術アカウントマネージャー)
コンシェルジュサービス
Well-Architectedレビュー
Enterprise On-Ramp(補足)
BusinessとEnterpriseの間に「Enterprise On-Ramp」($5,500/月〜)もあります。TAMのローテーション制(専任ではなくプール)と30分以内の重大障害対応が特徴です。
ミニクイズ
Q. 本番環境が停止した。1時間以内のサポート対応が必要です。最低限必要なサポートプランはどれですか?
A
Basic
B
Developer
C
Business
D
Enterprise(TAM付き)でなければ不可
正解は C(Business)。Businessプランでは本番システム障害に対して1時間以内の対応SLAがあります。Developerは12時間以内、Basicは技術サポートなしです。EnterpriseはBusinessよりさらに短い対応時間(重大障害15分)を提供しますが、最低条件はBusinessです。

5一括請求(Consolidated Billing)

AWS Organizationsの機能の一つ。複数のAWSアカウントの請求を1つにまとめ、コスト管理を効率化します。

一括請求の利点
① 全アカウントの使用量を合算してボリューム割引を受けられる
② 1つの請求書で全アカウントを管理
③ アカウント間でリザーブドインスタンスとSavings Plansを共有できる
管理アカウント
組織を管理する親アカウント(旧:マスターアカウント)。一括請求はこのアカウントに集約される。
リザーブドの共有
組織内の任意のアカウントがリザーブドインスタンスを使用できる(設定で無効化も可)。
ミニクイズ
Q. AWS Organizationsの一括請求の利点として正しいものはどれですか?
A
各アカウントが独立した請求書を受け取り、個別に管理できる
B
全アカウントの使用量を合算してボリューム割引を受け、1つの請求書で管理できる
C
全アカウントの請求が自動的に無料になる
D
リザーブドインスタンスが全アカウントで強制的に共有される
正解は B。一括請求では全アカウントの使用量を合算するため、ボリューム割引の閾値に達しやすくなります。また1つの請求書でコスト管理が簡素化され、リザーブドインスタンスの共有(オプション)も可能です。

6コスト最適化のベストプラクティス

AWSのコストを最適化するためのサービスと戦略です。AWS Cost Optimizationの5つの柱をベースに理解しましょう。

適切なサービス選択
ワークロードに最適なインスタンスタイプ・ストレージクラスを選択。オーバープロビジョニングを避ける。
未使用リソースの削除
停止中のEC2に付いたEBS・未使用のElastic IPは課金される。定期的に見直す。
リザーブド/Savings Plans
安定したワークロードには予約購入で最大72%割引。1年 or 3年で選択。
スポットインスタンス活用
中断可能なバッチ処理・CI/CDにスポットを使い最大90%削減。
S3ライフサイクル
アクセス頻度が下がったデータを自動的に安価なストレージクラスへ移行。
Auto Scalingの活用
需要に応じて自動スケールアウト/インし、ピーク以外のオーバープロビジョニングを防ぐ。
ドメイン4 試験直前チェックリスト
3つの料金モデル:従量課金・予約割引・ボリューム割引
データ転送:インバウンド無料・アウトバウンド有料
Cost Explorer(分析)vs AWS Budgets(アラート)の違い
サポートプラン4種(Basic/Developer/Business/Enterprise)の違いと料金
Business:1時間以内対応 / Enterprise:15分以内・TAM付き
一括請求:使用量合算でボリューム割引・リザーブドの共有が可能
最終ミニクイズ
Q. ドメイン4の総復習。AWSのコスト最適化の推奨事項として正しくないものはどれですか?
A
安定したワークロードにはリザーブドインスタンスを使用する
B
S3のライフサイクルポリシーで古いデータをGlacierに移行する
C
常にオンデマンドインスタンスを使用してコスト予測を安定させる
D
Auto Scalingで需要に応じてインスタンス数を自動調整する
正解は C(誤り)。「常にオンデマンドを使用する」はコスト最適化とは逆です。安定したワークロードにはリザーブドインスタンスが最適(最大72%割引)。オンデマンドは一時的・予測不可能なワークロード向けです。