Step 03 of 11 BASIC

PDCA
改善サイクルを回す

計画・実行・確認・改善を繰り返すことで、PMIをどんどん良くしていく力を身につける。

PDCAサイクルのイラスト
Chapter 01

PDCAとは何か

Key Concept

PDCA = Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(確認)→ Act(改善)のサイクル
1950年代に品質管理の専門家ウォルター・シューハートが提唱し、W・エドワーズ・デミングが普及させた。「一度やって終わり」ではなく、くるくると回し続けることで継続的に品質が上がる。

P
Plan
目標とKPIを設定し
アクションを決める
D
Do
計画通りに行動し
記録を残す
C
Check
実績をKPIと比較し
差異の原因を探る
A
Act
改善策を実施し
次のPlanへ繋げる
⚠️ 最も多い失敗:「PD止まり」 多くの日本企業が計画(P)と実行(D)はするのに確認(C)と改善(A)をしない「PD止まり」になっている。Cを怠ると何が問題かわからないまま同じ失敗を繰り返す。
📚
参考文献・出典
  • Deming, W. Edwards "Out of the Crisis" (1986, MIT Press) ― PDCAサイクル普及の源流となる著作
  • Shewhart, Walter A. "Statistical Method from the Viewpoint of Quality Control" (1939, Dover) ― PDCAの前身「PDSAサイクル」の原著
  • 日本科学技術連盟(JUSE)― 1950年にデミング博士来日。日本の製造業へのPDCA普及の起点
Chapter 02

4つのフェーズの詳細

📋 P:Plan(計画)
  • 達成すべき目標を設定
  • KPIを数値で決める
  • アクションプランを作る
  • 期限・担当者を設定

ポイント:KPIがなければCheckができない

▶ D:Do(実行)
  • 計画通りに行動する
  • KPIの実績を随時記録する
  • 計画と違う場合も記録に残す

ポイント:記録なしではCheckができない

🔍 C:Check(確認)
  • KPIの計画値と実績値を比較
  • 差異の原因を分析する
  • 良かった点・悪かった点を仕分ける

ポイント:原因まで特定してこそCheck完了

🚀 A:Act(改善)
  • 問題の根本原因に対して改善策を実施
  • うまくいった方法を横展開・標準化
  • 改善策を次のPlanに組み込む

ポイント:「改善」と「標準化」の両方がAct

Chapter 03

実例:PMIのクロスセル施策でPDCAを回す

シナリオ:A社がB社を買収後、顧客へのクロスセルを目標に設定した

P 計画
目標:3ヶ月でB社顧客への提案100件・成約10件。KPI:週次提案件数・成約率。担当:合同営業チーム。
D 実行
週1回合同ミーティング実施。提案活動を開始。提案数・商談数を営業日報に記録。
C 確認
2ヶ月後:提案42件(目標比64%)・成約2件(目標比30%)。原因:「互いを知らず紹介が億劫」「提案トークが不統一」。
A 改善
①自己紹介セッションを設置 ②統一提案スクリプト作成・配布 ③個人別KPI「1人週2件の紹介」を設定 → 次のPlanに組み込む。
PMI Managerの活用KPIダッシュボードで週次データを自動集計。レビュー会議は「差異の原因分析」と「Actの決定」に集中できる。PD→CAのサイクルが格段に速くなる。
📚
参考文献・出典
  • 中小企業庁「中小PMIガイドライン」(2022年3月)― PMIにおける進捗管理・KPI設定のベストプラクティス
  • 一般社団法人日本品質管理学会(JSQC)「品質管理用語」― PDCAサイクルの定義
Chapter 04

実務でPDCAを回すコツ

⏱️ サイクルを短くする

月次→週次にすると問題発見が4倍速くなる。PMIでは週次PDCAが基本。

📊 KPIは必ず数値化

「顧客満足度を上げる」ではなく「スコアを70点以上に」。数値がなければCheckできない。

👤 担当者を決める

ActはWho・What・Whenを必ず設定。「みんなで」は誰もやらない。

🔁 良いActは横展開する

うまくいった施策を他部門・他拠点に広める「標準化」もActの重要な役割。

Chapter 05

KPI設定の落とし穴とPDCA停止の原因

「回せない」原因は、たいてい最初のKPI設定にある

Key Concept

SMARTなKPIがなければPDCAは回らない
Specific(具体的)・Measurable(計測可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(目的に関連)・Time-bound(期限あり)の5条件を満たさないKPIは、CheckもActも機能しない。

❌ ダメなKPIの例

「顧客満足度を上げる」→ 何をどう計る?
「売上を増やす」→ いつまでに?どれだけ?
「努力を継続する」→ 測定不能
「業務効率化を推進する」→ 何が改善されたら達成?

✅ 良いKPIの例

「顧客満足度スコアを3ヶ月以内に70点→80点に」
「月次売上を10%増加(現在1,000万→1,100万)3ヶ月後」
「週次提案件数を5件以上・担当:田中、石井」
「請求書処理時間を現在3日→1日以内(期限:6月末)」

PDCAが止まる7つの原因と対策

原因①

KPIが数値化されていない
CheckできないのでActも生まれない

対策:KPIを必ず数値+期限+担当者で設定し直す

原因②

Checkの会議がない
月に一度も振り返りがない

対策:週次15分のレビューをカレンダーに必ず入れる

原因③

問題の原因まで掘り下げない
「未達だった」で終わり→Actが出ない

対策:「なぜ?」を3回繰り返して根本原因を特定する

原因④

Actの担当者が決まっていない
「みんなで改善しよう」=誰もやらない

対策:Actは必ず「誰が・何を・いつまでに」を明記する

原因⑤

目標が高すぎる
常に未達でモチベーションが下がる

対策:最初は「少し頑張れば達成できる」設定で成功体験を積む

原因⑥

サイクルが長すぎる
四半期に1回では問題に気づくのが遅い

対策:最低でも月次、PMIでは週次にする

原因⑦

良い結果の「標準化」を忘れる
成功事例が属人化・消滅する

対策:Actに「成功パターンの文書化・共有」を必ず入れる

Chapter 06

まとめ

Summary

PDCA ― 3行まとめ

  • PDCA = 計画→実行→確認→改善のサイクル。1回で終わらず回し続ける
  • 最重要はC(Check)とA(Act)。KPIを数値化して差異の原因まで特定する
  • PMIでは週次でサイクルを回し、Actを次の計画に繋げることで統合を加速させる

PDCAを実務レベルで使えるようになろう

PMIシナリオに基づく20問。フェーズ識別・KPI設定・Act策定の実践演習。

PDCA 練習問題を解く(20問)→